
さあ、バルセロナ・オリンピックの開幕!8月9日までの16日間、世
界中の人々の視線は、オリンピックの生みだす筋書きのないドラマに集
中する。「すべてバルセロナのために」と厳しい練習を積み重ねてきた
選手達にとって、この約2週間はそれこそ「人生を賭けた」大勝負。そ
の先には、メダルがある。中でも金メダルの声がかかる選手の重圧とい
うのは、想像を絶するものだ。
先日、その日本期待のひとり、柔道の古賀稔彦選手(71キロ級)が、
乱取り稽古の最中に左ひざを負傷、というニュースが日本中を走った。
古賀選手の稽古はいつも、稽古と思えぬほど闘争心がみなぎっている。
その日の吉田秀彦選手との乱取りも「相手が本気でこないと練習になら
ないから」と、本番さながらの真剣勝負だったという。また、不運なこ
とに、バルセロナ市内にあるバドレーナセンターの床は、とても滑りや
すくなっていたのだ。この2つが重なって、今回のアクシデントが起き
てしまったようである。
左ひざは昨年10月に一度ケガしている。その古傷を再度痛めてしまっ
た。診断結果は、左膝内側側副じん帯損傷で全治3週間。71キロ級の
試合日は31日。あと数日間でどこまで回復するだろうか。
今回のオリンピックは、古賀選手にとって特別な意味を持っている。
「平成の三四郎」と呼ばれ、国内外で圧倒的強さを誇る彼に、ただひと
つ 欠けているのが、オリンピックの金メダルなのだ。今回のオリンピッ
クを逃すと、次は4年後。24歳という年齢からみて、前回のソウル五
輪の雪辱を果たすためには、今回が最大のチャンスなのだ。
外見に似合わず?マンガを読んでいても泣いてしまうほど涙もろい古賀
選手。試合においても幾度となく、嬉し涙、くやし涙を流してきた。今
回は直前になって、予想外のアクシデントに襲われてしまったが、それ
を乗り越えて悲願の目標を達成してくれると思う。平成の三四郎の金メ
ダル姿をみんなで待ちましょう。